木になるはなし

トチノキ
トチノキ

トチノキ(栃の木)

学名:Aesculus turbinata Blume


緑鮮やかな季節には、掌状(何枚もの葉が放射状に付いて手のひらのような形になる)の大きな葉をつけるトチノキが、ひときわ目立ちます。5月になると白い小さな花が円錐状に集まって咲くさまが、ひとつの大きな花のように見えて、遠目からもよくわかります。

北海道から九州まで、全国の山地で自生するトチノキの実は、古来食用として利用されてきました。しかし渋味があるため、生のままでは食べづらく、煮て粉に した中身をもち米と一緒に調理してお菓子や水飴を作ったり、米の代用にもされたりしたそうです。いまでも各地で土産物として「とち餅」や「とちの実煎餅」 などが見かけられます。

材木としても幅広く利用され、かつては大径木(たいけいぼく)の幹をくり抜いて臼や船などが作られました。また木目が美しいので、いまでも建築材や楽器などに使われています。

トチノキは本来、涼しくて湿気のあるところを好むので、どこでも見かけるというわけにはいきませんが、公園や街路樹としても比較的よく使われ、東京では表参道付近の街路樹がそうです。栃木県ではその名のとおり「県の木」として指定されています。

ベニバナトチノキ
ベニバナトチノキ
パリの街路樹といえばマロニエが有名ですが、これはセイヨウトチノキ。“憧れのパリ”の風物として近代の日本文学でも好んで紹介され、トーキー時代の名画「巴里の屋根の下」では、西條八十の詞で広く親しまれました。

初夏にはトチノキの新緑を求めて山歩き、あるいは少し古いかもしれませんが「巴里の屋根の下」でも口ずさみながら表参道を歩いてみませんか?

データ

自生種では最大樹高35メートル、幹直径4メートルの大木にもなる。園芸品種として最近「セイヨウトチノキ」の交配種で「ベニバナ(紅花)トチノキ」の人気が高まっている。

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