木になるはなし

サツキツツジ
サツキツツジ

ツツジとサツキ

学名:Rhododendron Obtusum(キリシマツツジ)
学名:Rhododendron Indicum(サツキツツジ)


暮れゆく春を代表する花のツツジ。それぞれの株がときに重なり合い、紅、紫、白、緋、絞りと競うように花を咲かせている様子は、春の名残りを楽しみ、くる夏をまちわびているかのようです。

日本におけるツツジの歴史は古く、万葉の時代から人々に親しまれてきました。花が連なって咲くことから「つづき」、また、花が筒状であることから「つつ」 と呼ばれ、やがて「ツツジ」となったようです。江戸時代には、すでに品種改良が行われ、キリシマツツジやサツキなど多くの品種が生まれました。

キリシマツツジ
キリシマツツジ
そのなかのひとつ、久留米つつじは、およそ200年前、久留米藩の中級武士・坂本元蔵が作り出したといわれてい ます。元蔵は高良山の霧島ツツジを見て、形や花弁の色をもっと豊富にできないかと考えました。そのためには、実生から新種を生み出さねばと何度も種を苗床 に蒔きましたがいっこうに芽が出ません。

実際、何年目かにやっと発芽できたのも、まったくの偶然でした。たまたま、手のひらにあったツツジの種が風に飛ばされ、庭の片隅の湿った苔に落ちたものが発芽したのです。
その新花育成の成功はたちまちブームを巻き起こし、現在、ツツジの品種は317種と記録されるほどの盛況を築きました。町民文化の栄えた江戸時代にはツツジをはじめとした園芸が盛んになり、あたかも今日のガーデニングブームの様相を呈していたようです。

よく、「サツキ」と「ツツジ」を区別する人がいますが、「サツキ」は「ツツジ」の種類のひとつで「サツキツツジ」と呼ぶのが正解です。陰暦の5月に花が咲くので「皐月」、また、この時期に杜鵑(ホトトギス)が鳴くことから「杜鵑花」とも書きます。

サツキの原種は、日本各地の渓流沿いの岩場などに自生する「岩つつじ」とされ、現在私たちが目にするサツキは、この原種に品種改良を重ねて新種として作り 出されたものがほとんどです。しかし、見る者を威圧するほどの皐月盆栽の名品には、原種といわれる種類のツツジが今もなお数多く残っています。

データ

現在、公園などでもっともよく目にするのは「オオムラサキ」「ヒラドツツジ」などでしょう。ツツジはイングリッシュガーデンでも欠かせない庭木で、人気の「アザレア」などもそのひとつです。

ページのトップへ戻る