木になるはなし

白く清楚なシャラの花 『吟行版 季寄せ−草木花(夏・上)』 (朝日新聞社刊)より
白く清楚なシャラの花
『吟行版 季寄せ−草木花(夏・上)』
(朝日新聞社刊)より

シャラ(ナツツバキ)とヒメシャラ

学名:Stewartia Pseudo-camellia(ナツツバキ)
学名:Stewartia Monadelpha(ヒメシャラ)

梅雨明けを間近に控え、樹々はその縁をいっそう濃くして夏の灼熱に備えているようです。東京本社地下1階にある社員食堂の中央の庭は、通称「カメレアガーデン」と呼ばれています。ここの“ヒメシャラ”もあちこちに自い花を付け始めました。椿の英名がカメリアだというのはご存じですよね?

“ヒメシャラ(姫沙羅)”はツバキ科で、“シャラ(ナツツバキ)”の親類。箱根を代表する樹木のひとつとされ、箱根神社や芦ノ湖周辺でよくみかけます。花はシャラよりひとまわり小さいのですが、樹皮が滑らかで林内で斜光を浴びると幹が黄金色に美しく輝いてみえるので、庭木としても珍重されています。また、皮を付けたまま床柱として使ったり、昔は強くて滑らかな素材を生かして餅つきの杵にも使われました。


浮橋圃場のヒメシャラの林
浮橋圃場のヒメシャラの林

一方、シャラの名は、インドの沙羅双樹に似ているところからきています。お釈迦様が入寂するとき、その四方にあったことから仏教では沙羅双樹は“聖なる木”とされていますが、日本では代わりにこのナツツバキをお寺に植えることが多いようです。
ところで、大輪の花のように見える部分を花弁(花びら)だと思っている人が多いのではないでしょうか。実はその部分は「がく片」なのです。本当の花びらはその真中に小さく固まっています。アジサイの原種である「ガクアジサイ」も、周りの飾り花が「ガク片」なのです。
うちしきて あしたの沙羅の よごれなし
長谷川素逝
初夏のすがすがしさが感じられますね。

データ

ツバキといえば冬の花で常緑樹。しかしシャラとヒメシャラは同じツバキ科でも落葉樹で、いずれも6-7月にツバキに似た白い花を咲かせ10-11月に紅葉する。

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