木になるはなし

ネムノキ(合歓の木)

ネムノキ(合歓の木)

学名:Albizia julibrissin

ネムノキは、「見たことはないが名前だけは知っている」という方が多いのではないでしょうか。

花は薄いピンク色で羽毛のようにやわらかく、心を和ませてくれます。英名で“Silk Tree”と呼ばれるのも、その花の肌触りからきているのでしょうか。女優の宮城まり子さんによって創設された肢体不自由者施設、「ねむの木学園」のス タッフの制服も、その花のイメージから薄いピンク色をしているそうです。

ネムノキは暖地の木で、日本では本州以南のみに見られます。そのせいか、開花期は6〜8月の真夏。真夏の花というと炎暑のもと、鮮やかな色をふりまくとい うのがふつうですが、ネムノキは、暑い日差しを避けるように夕暮れから花を開き始め、翌日の昼過ぎまで咲きつづけます。そして葉は夜になると閉じあわせ下 向きに垂らすのがまるで眠るようなので「眠りの木」、これが「ねむの木」になったというのが名前の由来のようです。

ではなぜ漢字で「合歓(ねむ)の木」と記すのか気になりますが、万葉集にこんな歌があり、昔から色っぽい意味合いでも使われていたようです。

「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る
合歓木(ねむ)の花 君のみ見めや
戯奴(わけ)さへに見よ」
紀 郎女(きのいらつめ)


ちなみに、昼間でも突いたりして刺激を与えると嫌がって葉を閉じますから、優しく扱ってあげてください。これは植物学的には「睡眠運動」と呼ばれるもので、「葉枕」という葉の付け根部分の細胞が夜と昼で膨圧が変化するためにおこります。

薄暮に咲く花には上品な香りがあり、虫たちを誘います。淡いピンクの傘状に見える花は、実は数十本の細長い雄しべを持つ花が10個、20個と集まってでき た姿で、本当の花びらは茎に小さく付いています。日当たりのよい野原や川岸には自然にも生育するので、注意して見ると通勤電車の窓から見えることもあるか もしれません。

データ

マメ科の落葉小高木、葉は羽状複葉であまり密にならないので適度に光を通すため、庇陰樹として適する。

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