木になるはなし

ナナカマド
「ランドスケーププランツ」
(ワールドグリーン出版)より

ナナカマド

学名:Sorbus Commixta Hedl(七竃)

 

ななかまどの あふるるばかり 赤き実よ 木々落葉せし 山中にして
(佐藤佐太郎)

この歌にあるように、紅葉も終盤を迎えた秋の山で、とりわけ美しい紅色を放っていたナナカマドは、その葉を落としたあとに残る赤い実の美しさが特徴的です。
「七竃」と書くその名の由来は、「七回竃(かまど)で焼いても燃え残るほど固い」ということですが、実際にはボウボウとよく燃えるそうです。また、地方によっては、ナナカマドをかまどに入れておくと家が繁盛するといわれているようで、ますますナナ不思議(おそまつ!)。

暖地では実がなりにくく、移植が比較的困難なことなどから本州以南ではあまり見られませんが、北海道では昭和7年ごろ、高山植物採集に興味を持った時の道庁官佐上信一氏が推奨したのが始まりで、庭園樹として植えられるようになったそうです。


ナナカマド
現在、旭川市では、ナナカマドを「市の木」に決め、緑橋通りにずらりと植えています。同時に「旭川をナナカマド の都市にしよう」というスローガンのもと、多くの家庭で苗木が植えられています。また砂川市でも市民の人気投票で圧倒的な票を集めて「市の木」になりまし た。「葉が散ったあとも赤い実が楽しめる」というのが、両市民に共通したナナカマドの魅力のようです。

さらに北海道で人気のあるもうひとつの理由に、ナナカマドの赤い実と白い雪のコントラストがつくりだす幻想的な世界があるのでしょう。旭川生まれの井上靖は、次のような詩に表現しました。

雪をかぶったナナカマドの
あの赤い実の洋燈(ランプ)
一歩、一歩、その汚れなき光に、
足許を照らされて行く。
現実と夢幻が、このようにぴったりと、
調和した例を知らない。

データ

山地に生える落葉高木で高さは10メートル以上にもなる。仲間に3メートルほどのタカネナナカマド、1メートルほどのウラジロナナカマド。

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