木になるはなし

モクレンとコブシ

モクレンとコブシ

学名:Magnolia liliflora Desr / Magnolia kobus

春たけなわの4月、気品のあるモクレン(学名=マグノリア)の花の季節です。ふだんはあまり目立たないモクレンも、このときだけは花が枝いっぱいに咲き乱れ、人々の目を楽しませてくれます。

日本には、かなり古い時代に中国から渡来し、いままでは観賞用として広く植栽され、ときには生け花の材料にも使われています。その名は、かつてはランに似 ていることから、「木蘭(もくらん)」、その後、蘭よりもハスの花に似ているとして「木蓮」と書くようになったそうです。

同じモクレン科の木としては、コブシの木があります。コブシの花は、千昌夫のヒット曲「北国の春」に歌われているように、北国の春の訪れを告げる花で、農作業始めの目安にもされていました。

また、コブシの白く美しい花が、ときには霜に打たれて花弁を傷め、花姿を一朝にして変えてしまうことを、『草木有情』(松崎直枝著)では「世にあって思わ ぬ妨げを受けるのは、ひとり、この花ばかりではない。先見の士は時に世に受け入れられず、聖者も棺を負うて後にようやくして認められるものが人の世の常な らば、霜に打たれて昨日の姿を失うのも、世のつれなき習いであろう。」と、早春にさきがけて咲く、この花の勇気をたたえています。

モクレンとコブシ
アイヌ生物記のなかでは、「オマウクシ」(よい匂いを出す木)と呼ばれ、その香りにひかれて魔物がやってくると 信じられ、一方、九州では壇ノ浦で敗れ、山奥に逃げた平家の落武者が、早春のある日、突然、山全体にコブシがいっせいに咲いたのを、源氏の白旗と思い込 み、もはやこれまでと全員が自刃したとか、とにかく伝説がまつわることの多い花でもあります。

モクレン科の花々は、白亜紀、第三紀の化石から多く出てきています。恐竜のいた白亜紀の森は、このような花が咲き乱れ、そのむせかえるような香りのなかで、恐竜たちも私たち同様、春を感じていたのかもしれません。

データ

モクレンは別名モクレンゲ(木蓮華)、シモクレン(紫木蓮)といい、中国原産の大型落葉低木で、幹は直立または 株立ち、高さ3〜4メートル、開花期は4〜5月。コブシは日本(四国を除く)・朝鮮半島原産の落葉中高木。3〜4月に葉に先立って花が咲きます。公園樹、 庭園樹として広く植栽されています。

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