木になるはなし

アセビ

アセビ

学名: Pieris Japonika

みなさんは“アセビ”という花をご存じでしょうか。ちょうどいまごろ、あたりの木々が芽吹く前に、スズランに似た白い華麗な花をつける甘い香りの春の花です。

万葉人もこよなく愛した、この日本原産の小振りの木。その姿には似合わず、葉を食べた馬が酔っ払ったようになることから漢字では「馬酔木」と書きます。別 名“アシミ”とか“アシビ”とも呼ばれるのも、アシミは“悪し実”の音便、アシビは“足しびれ”の縮音といわれています。


アセビ
もうおわかりでしょうが、アセビの枝葉には神経を麻痺させる“アセボトキシン”という有毒物質が含まれているの です。ただし、食べない限り触れても無害ですのでご安心ください。鹿で有名な奈良公園はアセビが多く植えられていることでも知られていますが、これは普通 の低木類だと鹿が食べてしまうところ、アセビの毒性を知っている鹿は手をつけないからなのです。

ブランデーグラスにも似た鈴なりに咲く花の姿が親しまれて、最近では、早咲きの“クリスマスチェア”をはじめ、色もピンクや紅色、黄色の花をつけるものなど数多くの園芸品種も開発されています。
そうはいっても、やはりアセビといえば、万葉、そして奈良を思い起こさせます。

そんな万葉時代を偲んだ一句。
馬酔木(はなあせび)春日の巫女の袖ふれぬ
高浜虚子
データ

ツツジ科の常緑低木で以前は害虫駆除にも使われた。アセビの葉を摘み、煮立てた液を10倍ほどに薄めると油虫などの害虫に効く。

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